第二章 ブッダ難問に答える
【難問1】なぜ西洋では因果を語ることができないのか
─生ずる性質のあるものは滅する性質である─
教師ブッダ、説法を始める/
時間を語れ/
ブッダはなぜ臨終に願望法で語りえたのか/
スキのない語り/
因果を語れ─「ブッダの公式」/
老死の原因/
因果関係の見つけ方/
現代論理学で因果を語ると/
ブッダが示した可能性/
論理学には存在論が不可欠/
生ずる性質とは? 滅する性質とは?/
ブッダの語る文/
【難問2】ブッダはどのようにして一切を語るのか
─討論を通じてともに語るにふさわしい人は─
法を説くブッダ、雄弁に語る/
龍樹、ブッダの弁証法を語る/
一向論には分別論で/
分別論には詰論で/
練習問題と応用編/
龍樹、ブッダの演繹論理学を語る/
一向論の喩えによるもの/
分別論の喩えによるもの/
詰論の喩えによるもの/
練習問題で「一切知者」へ/
一息いれて『方便心論』のお話/
『方便心論』は阿含経典の防護林/
『方便心論』と『中論』の二本の矢/
【難問3】語りえぬものは沈黙せねばならないか
─ただ感受されたもの、渇愛にいたるもの、悩みもだえるだけのものである─
ブッダは形而上学説に黙して語らなかったか。/
「語られないこと」という答え/
再び生ずる性質のものは滅する性質であるということ/
いかにして存在論を語るか/
いまだかつて聞かれたことのない法/
十二因縁説はむずかしい/
心の中の因果行程/
十二因縁説をめぐる諸説/
「語られないもの」として大いに語れ/
論理と倫理の出会うところ/
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【難問4】因果の道を行くものは愚か者であってはならない
─自己を愛しく求めるものは他を害してはならない─
イラク戦争の大義/
因果の理法を知れ/
「愚か者よ」/
生ずる道と滅する道/
十二因縁の道筋/
因果律を説く資格/
「自己」を語る人々の特権意識/貧乏農家の知恵/
因果を説く者と神を信ずる者と/
自己を語る人々と自己を語らない人々と/
それから仏教で何が起こったか/
現代科学も例外ではない/
【難問5】因果の理法にしたがう者には自己は語りえない
─「尊師よ、誰が識別作用という食べ物を食べるのですか。」
「正しい問いではない」と尊師は言った─
無我と非我/
存在論と十二因縁説/
「自己はない」は語りうるか/
尊師よ、誰が食べるのですか/
「自己ではない(非我)」はなぜ語りうるのか/
認識論へ/
ブッダの形而上学的討論/
「自己」という語はどこにもない/
広がる言語世界とともに/開示された言語世界/
阿含経典の成立について/
カテキズムの手法/
ブッダの言葉は完全に保存されている/
おわりに/
最後にサービス/
インド哲学・仏教の一般書ならびに現代論理学関係書のご紹介
練習問題の解答
あとがき
注
索引
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