心にしみる原始仏典


『サンユッタ・ニカーヤ』35-23(PTS Text,Vol.W.p.15)

一切

1.
このように、わたしは聞きました。
あるとき、尊師は、サーヴァッティーのジェータ太子の林にある給孤独長者の園林に滞在していました。

2.
そこで、尊師は比丘たちに「比丘たちよ」と呼びかけました。
「尊師よ」と、かれら比丘たちは尊師に答えました。
「比丘たちよ、わたしは、<一切>について説きましょう。それを聞きなさい。

3.
比丘たちよ、何が<一切>なのでしょうか。
目と色かたちとであります。
耳と音とであります。
鼻と香りとであります。
舌と味とであります。
身体と触れられるものとであります。
心と法(思うこと)とであります。
比丘たちよ、これが、<一切>と言われるものです。

4.
比丘たちよ、もし人が、『わたしは、この<一切>を捨てて、別の<一切>を設定して説きましょう』と、
このように言うならば、それは、ただことばの上でのことになるだけです。
かりに質問されても、教えることはできないでしょうし、さらには、反論にも出合うことになるでしょう。
それは、どうしてかといえば、比丘たちよ、認識の領域ではないものにおいては、そうなるしかないのです」。



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